癒しのハーブ・ホーリーバジル ~ポタジェのある暮らし <7月>

癒しのハーブ・ホーリーバジル ~ポタジェのある暮らし <7月>

<ポタジェのある暮らしシリーズ>



和ハーブインストラクターの半谷美野子さんによるコラム。7月はアーユルヴェーダで古くから使われている「ホーリーバジル」についてのお話です。




「癒しのハーブ・ホーリーバジル」


「ハーブ」というと、西洋ハーブを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?今回ご紹介するハーブはインドや東南アジア、オーストラリア原産といわれるシソ科のハーブ「ホーリーバジル」です。






ホーリーバジル(Holy Basil)は、その多くの健康効果と薬効から、インドの伝統医学“アーユルヴェーダ”で古くから利用されてきました。


インドでは「トゥルシー(Tulsi)=“比類なきもの”という意味」という名前で親しまれており、最も神聖な植物として栽培され、宗教的な儀式で使われることもあるそうです。

ちなみに和名は「カミメボウキ(神目箒)」。(余談ですが、メボウキはバジルのことで、バジルの仲間は種に水がつくと、チアシードのようにゼリー状の膜ができてプルプルなります。それで目のゴミをとったため、目のほうき=目箒と呼ばれるようになったといわれています。)






さて、ホーリーバジルには種類が色々ありますが、どれも一般的なバジルとはちがう、なんともいえない甘い香りがするのが特徴です。独特の香りのため、好き嫌い分かれますが、その香りで癒される方は多く、日本でも魅了される人が急増中。


オイゲノールやリナロールなどの成分を含み、強力な抗酸化作用・抗炎症作用・免疫力を高める効果があるといわれ、ストレス軽減にも効果があるそうです。
アダプトゲン(Adaptogen)*として分類されるこの植物は、身体がストレスに適応するのを助け、心身のバランスを保つのに役立つため、注目されています。


ほかにも茎葉は発汗、解熱、去痰、健胃、消炎作用などがあり、茎葉も根もマラリアなどに用いることもあるそうです。また古代インドでは、葉を消化不良などの胃腸の不調緩和、皮膚疾患改善に使っていたともいわれています。

*アダプトゲンとは
 日本メディカルハーブ協会のHP(https://www.medicalherb.or.jp/archives/263166)によると「“アダプトゲン(adaptogen)”とは、様々なストレスに対して適応力を高める作用そのものや、そうした作用をもつ植物などの自然物のこと」をいうそうです。




「ホーリーバジルの活用の仕方」


ホーリーバジルはハーブティーとして、乾燥した茎葉や花のお茶が売られていることが多いですが、茎葉も花もフレッシュのままでもお湯を注げば、お茶として飲むことができます。

ドライにはない香りが楽しめるので、自分で育てたり、フレッシュが手に入るときは、ぜひ試してみてください。


ホーリーバジルだけでは、香りが強いという方は、ミントやレモングラス、または紅茶など、飲みやすいお茶とブレンドして淹れると、飲みやすくなります。






フレッシュが手に入ったら、作っていただきたいのがタイ料理の「ガパオライス」。

「ガパオ」とはタイ語で「ホーリーバジル」という意味なので、本来はホーリーバジルで作ってこそのガパオライスですが、日本ではホーリーバジルが手に入りにくいため、飲食店でもレトルト食品でもスイートバジルで作られていることが多いようです。






タイ料理屋さんではホーリーバジル入りのガパオライスを頂いたことがあるので、意識してみると出会えるかもしれません。


自分でホーリーバジルとスイートバジルを栽培し、それぞれで作ったガパオライスを食べ比べしたところ、味は全然ちがって、ホーリーバジルで作った方が爽やかなお味に感じました。ガパオ以外にも、サラダや炒め物にも使えます。


食用にする以外にも、お風呂に入れると本当にいい香り。手浴・足浴などでもホーリーバジルを使えば、たちまちリラックス空間ができることまちがいなしです。フレッシュだと葉のグリーンとかわいい紫色の花で目からも癒されます。


香りを楽しむ方法は色々あり、ドライハーブをポプリにしたり、自分で蒸留水などを作って、手作り化粧水などを作成することもできます。ホーリーバジルの精油も販売されているため、ディフューザーでお部屋中に香りを広げたり、様々なアロマクラフトを作ることもできるので、お好きな方は色々楽しんでみてください。





「ホーリーバジルの栽培」


ホーリーバジルはお世話しているだけで、癒しの芳香に包まれるので、香りが好きな方はご自分で育ててみるのがおすすめです。

ホーリーバジルは種からでも苗からでも、お庭やベランダのプランターでも育てられます。


原産地は温暖なため、多年草ですが、日本は冬があるため、一般的に一年草扱いです。
育てるポイントは、4月~6月頃に気温が15~20度以上になったら種まきや苗植えをすること。気温が十分でないと発芽しにくく、生育も悪くなってしまいます。



ホーリーバジルは、日当たりと風通しのよい場所を好み、水やりは表面の土が乾いてきたら、適宜あげれば大丈夫です。

暑さに強いといわれていますが、近年の猛暑はさすがに厳しそうなので、毎日水やりをし、花が咲く前に収穫を兼ねてこまめに剪定すると、脇芽も多く出て、収穫量も増え、枯れにくく、初秋まで楽しむことができると思います。花をそのままにしておくと、種ができるので、翌年用に採取しておきましょう。






「不老不死の霊薬」とも呼ばれるほどのホーリーバジル、興味を持っていただけましたでしょうか?生活に取り入れる方法は色々あるので、お好みの方法を見つけて、ホーリーバジルでほっと一息ついていただけるといいなと思います。

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