<ポタジェのある暮らしシリーズ>
和ハーブインストラクターの半谷美野子さんによるコラム。12月は寒さにマケズ、暖かい太陽の光を浴びて、ソラに伸びていくマメの話です。

日本の春の訪れを告げる食材の一つとして知られるソラマメ。鮮やかな緑色とほのかな甘みが特徴で、旬の時に一度は食べたいと思われている方も多いかもしれません。ただ販売される期間は短く、お値段もするので、名前は知っていても馴染みのない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
旬の味覚というだけでなく、栄養価も高く、色々な料理にもつかえるソラマメの魅力を、ご紹介していきたいと思います。
「ソラマメとは?」
ソラマメは、マメ科ソラマメ属の一年草または越年草の植物です。原産地は北アフリカや地中海沿岸、または西南アジアといわれています。寒冷地では 3 月頃に種を蒔くので、「一年草」となっていますが、ほかの地域では 10 月頃に種を蒔き、年を越して、4~6 月頃に収穫になるので、「越年草」や「二年草」と呼ばれます。
おなじみのサヤエンドウやスナップエンドウはつる性植物ですが、ソラマメは直立して生長するので、育てる時にネットを必要としません。ただ、1mほどに伸びて倒れやすいので、一般的に 70 ㎝ぐらいで先を切ったとしても、支えの棒が必要となってきます。それでも、ネットなしで育てられるのでほかのマメ科の野菜より面倒ではない気がします。

「ソラマメを育てる魅力」
さて、ソラマメを育てる魅力。一つ目はその姿。思わず写真に撮りたくなるような美しい花と豆のつき方は初めて見た時には驚きました。ソラマメは「空豆」や「蚕豆」と書きますが、ソラマメはなぜ「空豆」と書くかは、ソラマメを育てるとわかります!ソラマメは豆が生長する際に、他の豆類と異なり、垂れ下がらず、「空」に向かってさやを伸ばしていくため、この名がついたといわれています。初めてその姿を目にした時は、「これが空豆の語源か!」と感動したことを今でも覚えています。ちなみに、その上に向いていたさやが、下向きになってきたら、収穫時期になった合図です!
中国では「蚕の繭」に似ていることから、「蚕豆」と漢字で書くようになったといわれています。さやの中にはふかふかな綿のようなものがあり、その中に豆が入っている様子はいわれてみれば繭のよう。どこを見るかで国によって、語源がちがってくるのは面白いですね。
そして、もうひとつの魅力が一番美味しいソラマメが食べられること。新鮮な野菜は美味しいことが多いですが、特にソラマメは「そら豆がおいしいのは 3 日間だけ」といわれるほど鮮度が落ちるのが早いといわれている野菜なので、とにかく収穫してから早く食べた方が格別においしいです。
採れたてソラマメを私はオーブントースターでさやごと焼いて頂くのですが、豆の端部、頭の部分にある黒い筋状の部分が、若いものほど緑色で色が薄く、青臭さも少なく柔らかく、皮もするっとむけて、本当に美味!筋状の部分が黒くなってくると、豆がかたくなってくるのですが、販売されているのは黒い筋がはっきりしたものが多い感じがします。
もちろんそのソラマメも、ソラマメらしい味わいがあり、スープや炒め物など、そしてあとで紹介する豆板醤づくりにも使えるのでよいのですが、ソラマメが苦手な方でも「おいしい!」と言われる、あの新鮮で瑞々しいお豆は、是非多くの方に食べていただきたくなる代物です。
「ソラマメの栄養」
ソラマメは豊富なタンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルを含んでおり、特に植物性のタンパク質源として優れており、栄養価の高い野菜です。食物繊維も多いため、消化を助け、腸内環境を整える効果も期待できるといわれています。
ビタミン B 群や葉酸、ビタミン C、カリウム、鉄など、フィトケミカルとして注目されている栄養素も多く、「スーパーフード」として取り上げられることもあるほどです。

「豆板醤はソラマメで作られている発酵調味料!」
ソラマメは世界各地で食べられおり、色々な料理方法があるため、ソラマメが沢山採れた時は様々な食べ方をしています。茹でてからサラダやパスタに入れたり、炒めたり、スープやポタージュにしたり、すぐに食べきれない時は新鮮なうちにさやから豆だけ出して、保存袋に入れて冷凍して使うこともできますし、乾燥してから水で戻して煮豆にするなどレパートリーは色々。
基本的に料理に使ってきましたが、お菓子にも使われると知ったのは愛知に引っ越してきてから。和菓子屋さんで「みょうがぼち」というミョウガの葉に包んだお餅の餡が、ソラマメ餡だったのはびっくりしました。このお餅は調べてみると、岐阜の郷土菓子とのこと。
そして、沢山あるソラマメで何を作ろうか調べていて知ったのが「豆板醤」。市販の豆板醤を買っても、原料も今までちゃんと見ず、何でできているかよく考えたことがなかったことに気づき、「豆板醤」の「豆」はソラマメだったことを知りました。そして、「発酵調味料」だということも!

豆板醤は、中国の四川省で生まれた伝統的な発酵調味料で、「火鍋」や「麻婆豆腐」など、辛口料理で有名な料理に、深い旨味と辛さを加える重要な役割を果たしています。
豆板醤の基本的な材料は、そら豆、唐辛子、塩。本場中国では、ソラマメに麹菌をつけて育てたソラマメ麹に、赤唐辛子、塩水を加えて発酵、熟成させるのが本場の作り方だそうですが、ソラマメ麹は作るのも大変ですし、販売されていないので、日本では米糀で作っている人が多いと思います。
まず、豆を普段茹でて食べるよりも少し柔らかめに蒸すか、茹でるかしてから、皮をむき、よくつぶします。それに韓国産唐辛子と塩を加え、丁寧に混ぜ合わせます。これを煮沸消毒した瓶に入れ、常温で3~6ヶ月おいて、発酵させたらできあがり。できたらそれ以上発酵しないように、冷蔵庫に入れて保存しながら、料理に使います。
手作り味噌のように発酵して美味しくなるまでの時間がかかりますが、作り方はシンプル。
「手前味噌」の語源のように、やはり自分で作った発酵調味料はなんとも味わい深く、愛おしくて、美味しいもの。ソラマメがいっぱい採れたり、手に入ったら、「豆板醤づくり」おすすめです!
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~海老澤糀店さんからのアドバイス~
「ソラマメの育てる時のポイント」
★ソラマメはマメ科の中でも肥料食いな感じがあるので、元肥にしっかりたい肥などを入れた土を準備することが大切です。
★冬の霜対策にも気を付けています。藁やササなどを使って、霜対策をしていますが、無い場合は寒冷紗などを使って、霜からソラマメを守ってください。
「豆板醤を作る時のポイント」
★蒸しすぎると、皮が剥きにくくなるので、状態をよく見ながら蒸すことが必要です。
★豆の皮をとらないで潰して混ぜる人もいますが、できあがりの際に、発酵していても、皮が分解されずに残っているので、手間はかかりますが、皮は剥いておく方がよいです。
★韓国唐辛子をつかうことで、コクのある辛さになるのでおすすめです。

