<ポタジェのある暮らしシリーズ>
和ハーブインストラクターの半谷美野子さんによるコラム。4月は食卓を彩る「ときめくハーブたち」のお話です。
いよいよ春!思わず外に出て、からだを動かしたくなる季節。暖かくなってきて、庭いじりや土に触れるのにもぴったりの時季になってきましたね。
今回は初めての方でも育てやすく、ちょっと添えるだけ、加えるだけで、料理が美味しく華やかになる、ときめくハーブたちをご紹介したいと思います。
「ローズマリー」
ローズマリーはシソ科の常緑性低木。一年中、細長い緑の葉をつけ、冬から春に紫色の花をつけます。地中海沿岸地域原産のため、温暖で乾燥した気候を好むといわれていますが、耐寒性も高いため、寒い地域でなければ冬を越すので、育てやすいハーブです。
歴史は古く、古代ギリシャやローマ時代から儀式や料理に活用されていたといわれます。 肉料理、魚料理、野菜料理などに少し入れるだけで、本格的な味になり、パンやフォカッチャに入れても美味。葉を乾燥しておくと、すぐ料理に使うことができるほか、お茶にしたり、ハーブソルトなどにしても楽しめるのでおすすめです。
花もエディブルフラワーとして食べることもできるので、サラダやスープなどに散らすだけで彩りになり、味のアクセントになることまちがいなし!
香りには記憶力向上や集中力アップの効果もあり、お風呂に入れたり、手作り化粧品に入れたり、ポプリにするなど食べるだけではなく、活用用途が多いハーブなので、香りが好きな方は是非育ててみてください。
「チャイブ」
チャイブはヒガンバナ科の多年草。「西洋アサツキ」と別名があるように、細長い青緑色の葉が特徴で、風味はネギに似ており、サラダやスープ、オムレツに加えることで風味を引き立てます。葉の収穫時期は4月~10月頃まで。
ネギより味も葉も繊細で、散らして使うだけでなく、ハーブバターなどに混ぜて、料理に添えると普段の料理がより美味しく、美しくなるのでおすすめです。
5月~7月頃には薄紫色の小さなネギ坊主のようなかわいらしい花もエディブルフラワーとして食べることができ、薬味のようなおいしさもあるので魅力的。
食欲増進、疲労回復、新陳代謝の活性化といった効能もあり、ネギのように使えるハーブなので、今までハーブを使ったことのない方にも使いやすいハーブだと思います。
「タイム」
タイムはシソ科の常緑小低木。丈も低く、葉も花も小さいため、「草本」にみえますが、茎が木化する「木本」です。ちなみに「タイム」は総称で350種類ほどの種類があるといわれています。
種類によって風味や効能、用途もちがい、購入するときは迷われると思いますが、「タイム」の香りと効能を求める場合、一般的にスパイスとして使われているのが「コモンタイム」。
香りは強く、加熱しても風味が落ちにくいため、オイルやマリネの香り付けだけでなく、スープや肉料理などの煮込み料理などにもぴったりです。
また殺菌・防腐効果、抗菌作用や抗炎症作用が高く、古くから薬用とされているため、風邪の時などにお茶として飲んだり、うがい薬にするなど、常備薬として乾燥させておくこともできる優れもの。
乾燥したものは、お茶だけでなく、ハーブソルトなどにも使えます。
ほかに食用に育てる場合は、レモンの香りがさわやかな「レモンタイム」もおすすめです。
「フェンネル」
フェンネルはセリ科の多年草。ヨーロッパで古くから薬用として使われてきたハーブで、葉、花、果実、鱗茎(フローレンスフェンネル)あますところなく使えるハーブです。
各部位共に特徴的な甘い香りと味があり、フワフワで繊細な葉は魚料理やサラダ、スープやジェノベーゼ。「フェンネルシード」としてスパイスとして売られている果実は煮込み料理やお茶、カレーのスパイスなどに使うことができます。果実の生薬名は「茴香(ウイキョウ)」と呼ばれ、消化促進や鎮痛作用があり、様々な漢方薬に使われているほど。
中国の「五香粉」にも入っており、インド料理屋さんなどのレジにカラフルな砂糖でまぶされて「ご自由にどうぞ」と小皿に置かれているのもこのフェンネルシードです。
黄色の小さく、可憐な花はエディブルフラワーとして、サラダやスイーツにぴったりで心ときめきます。
フェンネルにも種類があり、ヨーロッパで野菜として、サラダやスープなどにしてよく食べられる、シャキシャキとした食感の部位は「フローレンスフェンネル」の根元の部分(鱗茎)。これを食べたい方は必ず「フローレンスフェンネル」を栽培してください。そして、ピンクのハーブビネガーが作れるのが「ブロンズフェンネル」。葉がブロンズ色でお庭のアクセントにもおすすめです。
「ディル」
ディルはセリ科の一年草。葉も花も果実もフェンネルにとても似ていますが、フェンネルは多年草でディルは一年草。香りもそれぞれちがいます。甘味はフェンネルほどなく、マイルドで爽やかな香りが特徴のハーブで、ピクルスや魚料理に欠かせない存在です。
繊細な葉はサラダやスープ、ソースに使われることが多く、ディルシードはパンやスパイスミックスに利用されます。ディルには抗菌作用や消化促進効果があり、健康にもよいとされているので、お茶にするのもおすすめです。
5月~7月頃に咲く、黄色くかわいい花もエディブルフラワーとして美味しくいただけます。ディルは一年草なので、花や種を全部使ってしまうと、翌年種を蒔けなくなってしまうので、種をとっておく花を決めておくとよいでしょう。
また、フェンネルとちがい、暑さに弱く、夏の間に寿命を迎えることが多いです。
「コリアンダー」
コリアンダーはセリ科の一年草。古くからタイや中国などアジアの各地で食用(野菜および香辛料)とされている、世界中で広く利用されているエスニック量には欠かせないハーブです。
日本では葉の部分をタイ語由来の「パクチー」、中国語由来の「シャンツァイ(香菜)」、スパイスとして使う種子を「コリアンダー」と呼ぶことが多いように感じます。
葉は癖のある香りと風味があり、別名「カメムシソウ」と呼ばれほどの香りのため、好き嫌いがはっきり分かれるハーブとしても有名です。
薬味として生春巻きの具やアジア料理の麺類の上にのせたり、グリーンカレーに入れると、ぐっと本格的なお味になります。繊細で白い小花は葉に近い風味でエディブルフラワーとしてもいいですし、かわいいので食卓に飾るお花としても楽しめます。
根もスープやカレーなどにして美味しくいただけるので、枯れる前に抜く場合やこぼれ種でたくさん生えてきた時は召し上がってみてください。
そしてスパイスとして使われる種子は葉とはまったくちがう味で、香りは柑橘系でなんともさわやか!「ターメリック(ウコン)」「クミン」と並ぶカレーに欠かせないスパイスで、ピクルスなどにも使われます。
胃液分泌,胆汁分泌促進,健胃作用もあるので、ハーブティーなどにミックスして飲むのもおすすめです。 暑い国の育つイメージですが、夏ごろには枯れてくるので、パクチー好きな方は葉の柔らかいうちにどんどん採って、食べるとよいかと思います。
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ハーブは薬効も高く、その風味はいつもの料理を豊かにし、レパートリーを増やすのにも一役かってくれます。日々育てながら、少しづつ収穫できたり、保存用の調味料に加工できるところもハーブのいいところ。
是非、春からハーブの魅力を五感で楽しみ、世界を広げてみませんか?
