魅惑の青いハーブ・バタフライピー ~ポタジェのある暮らし <5月>

魅惑の青いハーブ・バタフライピー ~ポタジェのある暮らし <5月>




<ポタジェのある暮らしシリーズ>



和ハーブインストラクターの半谷美野子さんによるコラム。5月は魅惑の青いハーブ「バタフライピー」のお話です。


この頃、SNS やカフェなどで、青色が映えるスイーツやドリンクが増えたなぁと思っている方いらっしゃいませんか?きっとそれは、ブルーハワイではなく、人口着色料でもなく、今回ご紹介する「バタフライピー」の青い色。

 

バタフライピー(英名:Butterfly Pea)は、和名を「蝶豆(チョウマメ)」といい、花はまさに羽を広げている蝶のよう。

 

 

そして美しさだけでなく、鮮やかな青色と健康効果で近年注目されているハーブのひとつです。

東南アジアが原産地のマメ科チョウマメ属のツル植物で、タイでは อัญชัน (アンチャン)と呼ばれている、タイでは馴染みのハーブ。


 

「バタフライピーの成分」


バタフライピーの青は、花びらに含まれている「アントシアニン」という成分で、赤ワインなどにも含まれている、抗酸化物質「ポリフェノール」の一種。

バタフライピーのアントシアニンの含有量はブルーベリーよりも何倍も多いという研究結果もあります。

「アントシアニン」は、老化防止、美白・美肌、眼精疲労改善、視覚機能の改善、抗炎症作用などの効果が注目されているファイトケミカル。

バタフライピーにはアントシアニン以外にも様々なファイトケミカルが多く含まれているため、古くから東南アジアで美容や健康に良いとされていたのもうなずけます。

 

 

「バタフライピーの魅力」


バタフライピーの青色色素はとても安定しているところが、今までハーブの中で青色を抽出してきたアオイ科の“マロウ”とちがうところ。

 

マロウの紫色の花からも青は抽出できましたが、不安定で、ほかの植物とお茶にして、蒸らしている間に茶色っぽくなったり、色が無くなってきたりしていました。それに比べて、バタフライピーは加熱しても、加工しても、紫外線などで劣化しないかぎり綺麗な青色を維持するため、色々作る楽しみができたのです。

 

そして、美しい青に、レモンなどの果汁を加えると、酸に反応して、青から、鮮やかな紫色に変わることも魅力のひとつ!

 

 

バタフライピーのお茶を淹れる時の量や抽出時間によって青の濃さも変わり、追加で入れる果汁の量によっても紫色の濃淡も出て、それはまるで実験や魔法のようでもあり、ワクワクします。

 

 

「バタフライピーの楽しみ方」


バタフライピーは1日花なので、朝に咲いて、夕方には閉じて、枯れてしまうため、バタフライピーが咲いたら、開いているうちに収穫します。
そのままフレッシュでお茶にしたり、塩にもみこんで青い塩を作ることもできます。

 

生で使わない場合はさっと洗って、屋内で乾かして、ドライハーブを作ります。

 


ドライにした花は水やお湯でお茶にできますが、お味はうっすら豆味・・・。

 

単品ではなく、ほかに抽出した時に色の薄めのハーブやレモングラスやミントなどとミックスして飲んだり、カルピスにバタフライピーをゆっくり注いで、白~青のグラデーション、ローゼルティーやレモンをバタフライピーのお茶にちょっと入れて、青~紫色のグラデーションを楽しむのもおすすめです。

 

 


青い氷として使う時は、バタフライピーだけのお茶だけの方が綺麗な青が映えて涼しげです。

 


この頃は青を連想する藍のお茶(藍の葉や種は茶色)やミント(薄茶色)のお茶と一緒にバタフライピーがミックスされているのも見かけます。

青い食べ物は食欲をなくす・・・といわれていますが、バタフライピーの青の美しさにはそれを上回る魅力があります。

レシピサイトを見ると、ゼリーやケーキ、アイスクリーム、琥珀等など様々なスイーツやドリンクがたくさん掲載されているので、よかったら参考にして色々作ってみてください。

 


ちなみに、マレーシアでは「ナシクラブ」、タイでは「カオヤム」と呼ばれる、バタフライピーとココナッツミルクでご飯を炊いた、青いご飯の郷土料理があります。興味のある方は青いご飯に挑戦してみてはいかがでしょう。

 

美容業界からも注目されており、様々な化粧品に使われています。ご自分でバタフライピーをスキンケアやヘアケア、石けんなどにして取り入れられている方もいるようです。

 

 

「バタフライピーの栽培について」


東南アジアの植物ですが、日本でバタフライピーを栽培することもできます。もともとは多年草ですが、冬までに寒さで枯れてしまうので、一年草として扱うことが多いです。(沖縄は暖かく、一年中栽培できるため、流行る前から色々と商品化されています)

 


種からでも苗からでも、初心者の方でも自宅の庭やベランダで育てることができます。

ツル植物なので、必ず網を立ててあげてください。適温は20℃~30℃ですが、暑さには強いため、水やりをきちんとすれば、日本の猛暑の中でも美しい花を咲かせてくれます。グリーンカーテンにもおすすめです。

 


青い花の話ばかりしてきましたが、時々白い花を咲かせることもあり、青と白のハーフの花も咲くことがあります。

 

 

花の後には豆ができ、若くて柔らかい莢は食べられると書いてあったので、食べてみましたが、特においしいというものではないので、豆ができたら、成熟させて、来年用の種としてとっておくとよいでしょう。

 

世の中に流行る「青」の秘密、いかがでしたか?バタフライピーの魅力を少しはお伝えできたかと思います。人の想像力をかきたてる魅惑の青。みなさまもぜひ、ご自分で育てたり、生活に取り入れてみてはいかがでしょう。

 

★注意
・バタフライピーには子宮収縮作用や血小板凝固抑制作用があり、血液が凝固しにくくなると書かれているものもあるため、飲みすぎには注意し、気になる方は副作用を調べてからご飲食ください。
・マメ科アレルギーのある方は控えるようにしましょう。

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